「衣類のタグに、見慣れないマークがたくさん並んでいて、意味がわからない」「洗濯機で洗っていいのか、手洗いが必要なのか判断できない」「漂白剤や乾燥機は使っていいの?」衣類についている洗濯表示(取り扱い表示)は、洗濯や乾燥、アイロンで失敗しないための、いわば「衣類の取扱説明書」です。しかし、記号の数が多く、「なんとなく見ないで洗っている」という人も少なくありません。
実は、洗濯表示は、いくつかの基本ルールを覚えるだけで、誰でも読み解けるようになります。表示を守って洗うことで、衣類の縮みや色落ち、型崩れといったトラブルを防ぎ、お気に入りの服を長持ちさせられます。
この記事では、洗濯表示の仕組みと読み方の基本、5つの基本記号と付加記号の意味、洗い方・漂白・乾燥・アイロン・クリーニングの各マークの見方、表示を守らないとどうなるか、タグがないときの対処まで、わかりやすく解説します。
洗濯表示(取り扱い表示)とは
衣類の「手入れの上限」を示すもの
洗濯表示は、衣類の家庭での洗濯や、クリーニング店での取り扱い方法を、記号で示したものです。大切なのは、表示が示しているのは、「その衣類が耐えられる処理の上限」である点です。たとえば、洗濯桶のマークに「40」とあっても、必ず40℃のお湯で洗うという意味ではありません。表示より高い温度や強い処理は避ける、という意味で受け取りましょう。
2016年12月から新しい表示に
日本の洗濯表示は、2016年12月1日から、新しい規格(JIS L 0001:2014)に変わりました。約50年ぶりの変更で、国際規格(ISO 3758)をベースにしています。旧表示にあった日本独自の絵や、日本語の表示がなくなり、世界共通の記号になっています。
大きな考え方の違いとして、旧表示は「こう洗うのがよい」という指示に近かったのに対し、新表示は「その衣類が耐えられる処理の上限」を示す点が挙げられます。また、その後2024年(令和6年)にも、洗濯表示の一部改正が行われ、消費者庁が最新の洗濯表示を公開しています。手元の衣類に旧表示と新表示が混在している場合もあるため、迷ったときは、消費者庁などの公式な資料を確認しましょう。
表示は、法律に基づいて付けられている
衣類の洗濯表示は、家庭用品品質表示法に基づいて、衣類に付けることが定められています。タグ(ラベル)は、縫い付けラベルなどの形で、衣類に付いていることが一般的です。
洗濯表示の読み方の基本
5つの基本記号
洗濯表示は、5つの基本記号で構成されています。
| 基本記号 | 意味 | 確認すること |
|---|---|---|
| 洗濯おけ(たらいの形) | 家庭での洗濯 | 洗濯機で洗えるか、手洗いか。液温の上限 |
| 三角形 | 漂白処理 | 漂白剤が使えるか。どの種類が使えるか |
| 四角形 | 乾燥処理 | 乾燥機が使えるか。自然乾燥なら、干し方 |
| アイロン | アイロン仕上げ | アイロンの温度、スチームの可否 |
| 円(丸) | クリーニング処理 | クリーニング店での処理方法 |
タグには、洗濯、漂白、乾燥、アイロン、クリーニングの順に、記号が並んでいます。
付加記号のルール
基本記号に付く、数字・点・下線・×(バツ)が、細かな条件を示します。
| 付加記号 | 意味 |
|---|---|
| 数字 | 洗濯液の上限温度(℃) |
| 点(・) | 温度の条件(アイロンや乾燥機の温度の高低) |
| 下線(1本) | 弱い処理 |
| 下線(2本) | 非常に弱い処理 |
| ×(バツ印) | その処理はできない(禁止) |
たとえば、洗い桶に×がついていれば、家庭での洗濯はできません。三角に×なら漂白剤は使えない、という具合に、×は「禁止」を表します。
洗い方(洗濯おけ)のマークの読み方
洗濯機で洗えるマーク
洗い桶の中の数字は、液温の上限を表します。洗濯機で洗えるかどうかと、その強さを、組み合わせて読みます。
| マーク | 意味 | 家庭での洗い方の目安 |
|---|---|---|
| おけ+95/70/60/50 | 液温の上限まで、洗濯機で通常の洗濯ができる | 通常コースで洗える |
| おけ+40(下線なし) | 液温40℃を限度に、洗濯機で洗濯できる | 普段着でもっとも多い表示 |
| おけ+数字+下線1本 | 洗濯機で弱い洗濯ができる | 弱水流、「おしゃれ着コース」などを使う |
| おけ+数字+下線2本 | 洗濯機で非常に弱い洗濯ができる | 「ドライコース」「手洗いコース」など、もっとも弱い設定で洗う |
手洗いのマーク
洗い桶に手のマークがある場合は、手洗いを意味します。たとえば、「液温40℃を限度に、手洗いができる」「液温30℃を限度に、弱い手洗いがよい」といった表示があります。手洗いには、押し洗い、振り洗い、つかみ洗いなどがあります。洗濯機に「手洗いコース」がある場合は、そちらでも代用できる場合があります。
洗い桶に×がある場合
洗い桶に×がある場合は、家庭での洗濯ができません。クリーニング店などに相談しましょう。
漂白(三角)のマークの読み方
| マーク | 意味 |
|---|---|
| 三角(白抜き) | 塩素系・酸素系の漂白剤が使える |
| 三角+斜線 | 酸素系漂白剤のみ使える(塩素系は使えない) |
| 三角+× | 漂白処理はできない |
洗濯表示で「酸素系漂白剤は使えるが、塩素系は使えない」場合に、塩素系漂白剤を使うと、色落ちや生地の傷みの原因になります。酸素系漂白剤を使ったつけ置きの方法は、「洗濯物 臭い オキシクリーン」「洗濯物 黄色いシミ」の記事で解説しています。また、塩素系漂白剤と、酸性のものや酸素系を混ぜると、有害なガスが発生するおそれがあるため、絶対に混ぜないでください。
乾燥(四角)のマークの読み方
乾燥機(タンブル乾燥)
四角の中に丸があるマークは、乾燥機(タンブル乾燥)を使えるかどうかを示します。タンブル乾燥とは、ドラム式洗濯乾燥機や衣類乾燥機の中で、衣類を回転させながら温風で乾かす方式です。
- 四角+丸:乾燥機が使える。丸の中の点の数で、温度の条件が示される
- 四角+丸+×:乾燥機は使えない
ウールやニットなど、縮みやすい素材は、乾燥機で縮むことがあるため、表示の確認が欠かせません。
自然乾燥(干し方)
四角の中に線があるマークは、自然乾燥での干し方を示します。一般的には、次のような意味です。
| 四角の中の線 | 干し方の意味 |
|---|---|
| 縦線 | つり干し(ハンガーなどで吊るして干す) |
| 横線 | 平干し(平らな場所に置いて干す) |
| 斜線が付いたもの | 日陰で干す |
| 波線(縦線+波) | ぬれつり干し(脱水せず、濡れた状態で吊るす) |
ニットなど、伸びやすい衣類は、平干しが指定されていることがあります。干し方の基本は、「洗濯物 干し方」の記事で詳しく解説しています。日陰干しの指定は、色あせしやすい衣類に多く見られます。
アイロン仕上げのマークの読み方
アイロンの形のマークには、点の数があり、点が多いほど、高い温度を示します。点の数が、アイロンの底面温度の上限を意味します。
| マーク | 意味 |
|---|---|
| アイロン+点(1〜3) | 点の数が多いほど、高温でアイロンがけができる |
| アイロン+×のスチーム表示 | スチームを使えない |
| アイロン+× | アイロンは使えない |
アイロンの底面温度の具体的な数値は、新旧の表示、または改正の時期によって異なる場合があります。旧表示と新表示を混同しないよう注意し、最新の数値は、消費者庁の公開資料などで確認してください。
クリーニング(丸)のマークの読み方
円(丸)のマークは、クリーニング店で行う処理の方法を示します。
| マーク | 意味 |
|---|---|
| 丸の中に「W」 | ウエットクリーニングができる |
| 丸の中に「P」または「F」 | ドライクリーニングができる(溶剤の種類によって区別される) |
| 丸+× | クリーニングの処理ができない |
ウエットクリーニングは、プロが水を使って行う洗浄で、家庭での洗濯とは別のものです。ドライクリーニングは、有機溶剤を使った洗浄方法です。
表示を守らないと、どうなる?
洗濯表示を無視して洗うと、次のようなトラブルが起こりやすくなります。
| 表示を守らなかった例 | 起こりやすいトラブル |
|---|---|
| 洗い桶の温度上限を超える | 縮み、色落ち、型崩れ |
| 弱い処理指定を通常コースで洗う | 毛玉、生地の傷み、型崩れ |
| 塩素系漂白剤が使えない衣類に使う | 色落ち、変色、生地の傷み |
| 乾燥機が使えない衣類に使う | 縮み、変形、傷み |
| 平干し指定のニットを吊るす | 伸び、型崩れ |
| アイロンの温度が高すぎる | 生地の溶け、テカリ |
色移りが心配な衣類の対処は、「洗濯物 色移り」の記事も参考にしてください。
表示とあわせて確認したい「付記用語」と素材表示
付記用語
洗濯表示の記号だけでなく、「洗濯ネット使用」「他のものと分けて洗う」「色落ちに注意」などの付記用語が書かれている場合があります。これらは、見落としやすいので、必ず確認しましょう。洗濯ネットを使った洗い方や、裏返して洗う方法は、下記の記事も参考にしてください。
素材(組成)表示
タグには、綿、ポリエステル、ウールなどの繊維の組成(素材)も記載されています。素材によって、洗い方や洗剤の選び方が変わるため、あわせて確認しましょう。洗剤の選び方は、「洗濯物 洗剤」の記事で解説しています。たとえば、ウールやシルクなど、デリケートな素材は、中性のおしゃれ着用洗剤を選ぶのが基本です。
タグがない・読めない・複数ある場合の対処
タグが切り取られている・文字が消えている
タグがない、または読めない場合は、衣類の素材や、購入時の情報をもとに、慎重に判断しましょう。判断が難しいときは、洗濯機の弱水流のコースを使う、手洗いにする、クリーニング店に相談するなど、衣類に優しい方法を選ぶのが安心です。
タグが複数ある・表示が異なる場合
衣類の一部(裏地、飾りなど)に別の素材が使われている場合、タグが複数ついていることがあります。その場合は、もっとも弱い処理条件に合わせて洗いましょう。
旧表示のマーク
2016年12月より前に作られた衣類には、旧表示がついている場合があります。旧表示は、新表示とは意味や記号が異なるため、混同しないよう注意し、必要に応じて、新旧の対応表で確認しましょう。
洗濯表示を確認する3ステップ
洗濯の前に、次の3ステップで確認すると、失敗を防げます。
- 桶のマークを確認する:洗濯機で洗えるか、手洗いか、洗えないか。数字は液温の上限、下線の本数は洗う強さ
- 三角・四角・アイロンのマークを確認する:漂白剤の種類、乾燥機の可否、干し方、アイロンの温度
- 付記用語・素材表示を確認する:「洗濯ネット使用」などの条件や、素材に合った洗剤を選ぶ
洗濯機で洗える衣類でも、乾燥機や漂白剤が使えるとは限りません。それぞれのマークを個別に確認することが大切です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 洗濯表示は、どこに付いていますか?
A. 衣類の縫い目の内側や、襟の後ろ、脇の下あたりに、縫い付けラベルとして付いていることが多いです。
Q2. 洗濯表示の記号は、何種類ありますか?
A. 新JISの洗濯表示は、洗濯・漂白・乾燥・アイロン・クリーニングの5つの基本記号に、数字・点・下線・×などの付加記号を組み合わせます。2024年改正に対応した一覧では、全43記号と紹介されています。
Q3. 洗い桶に手のマークがある場合は、洗濯機で洗えませんか?
A. 手洗いの表示は、手洗いを推奨するものです。洗濯機の「手洗いコース」などで洗える場合もありますが、衣類を傷めるリスクがあるため、迷ったら手洗いにしましょう。
Q4. 三角に×がある衣類に、酸素系漂白剤は使えますか?
A. 三角に×は、漂白処理ができないという意味です。酸素系漂白剤も、使わないほうが安全です。
Q5. 表示がない衣類は、どう洗えばいいですか?
A. 素材から判断して、洗濯機の弱水流コースや手洗いなど、衣類にやさしい方法を選びます。大切な衣類は、クリーニング店に相談しましょう。
Q.6「40」と書いてあれば、必ず40℃で洗うの?
A. いいえ。数字は、液温の上限を示しています。水で洗っても問題ありません。40℃を超える温度は避けるという意味で受け取りましょう。
Q7.洗濯機で洗えるマークでも、手洗いのほうが安心?
A. 洗濯機洗いが可能な表示であれば、表示に従って洗って問題ありません。弱い洗濯の表示なら、おしゃれ着コースや手洗いコースなどの弱水流を選びます。洗濯物を詰め込みすぎないなど、洗濯機の使い方も大切です。洗濯物の量の目安は、「洗濯物 重さ 目安」の記事も参考にしてください。
Q8.洗濯表示は、ずっと同じ意味?
A. 規格の改正によって、記号が追加・見直しされることがあります。2016年の大きな変更に続き、2024年にも一部改正があったため、最新の表示は、消費者庁などの公式な情報で確認しましょう。
まとめ
洗濯物の取り扱い表示(洗濯表示)は、衣類が耐えられる手入れの上限を示す記号で、2016年12月から、国際規格をベースにした新JISに変わり、その後2024年にも一部改正が行われています。
5つの基本記号は、洗濯おけ(洗い方)、三角(漂白)、四角(乾燥)、アイロン、円(クリーニング)で、数字は液温の上限、点は温度の条件、下線は処理の強さ(1本=弱い、2本=非常に弱い)、×は禁止を表します。
洗濯前には、まず桶のマークで洗い方を確認し、次に、三角・四角・アイロンのマークで漂白剤・乾燥機・干し方・アイロンの条件を確認し、最後に付記用語や素材表示をチェックしましょう。
数字が示すのは上限であり、必ずその温度で洗う必要はありません。表示を守ることで、縮み、色落ち、型崩れなどのトラブルを防ぎ、お気に入りの衣類を長持ちさせられます。
タグがない・読めない場合や、判断に迷う大切な衣類は、無理に自宅で洗わず、クリーニング店に相談するのが安心です。洗濯表示を味方につけて、毎日の洗濯を、もっと安心で快適なものにしましょう。
