「洗濯物のニオイが取れないとき、重曹は効くの?」「重曹を洗濯機に入れても大丈夫?」「重曹とセスキ炭酸ソーダ、クエン酸は何が違うの?」掃除や料理でおなじみの重曹は、洗濯でも使える便利なアイテムとして知られています。手頃な価格で、肌にもやさしいイメージがあり、洗剤の補助として取り入れたい人も多いのではないでしょうか。
ただし、重曹は万能ではなく、使い方を間違えると、白い粉が衣類に残ったり、洗濯機の故障につながったりすることもあります。とくに、ドラム式洗濯機では、重曹を直接入れないよう注意が必要です。
この記事では、洗濯での重曹の効果と働き、セスキ炭酸ソーダやクエン酸との違い、洗濯機・つけ置き・ペーストの使い方、適量、使えない素材や洗濯機、失敗しやすいポイントまでわかりやすく解説します。
重曹とは?洗濯での働き
重曹は「弱アルカリ性」の粉末
重曹(炭酸水素ナトリウム)は、水に溶けると弱アルカリ性を示す粉末です。衣類に付いた、汗や皮脂、食べこぼしの油分など、酸性の汚れを、中和して落としやすくする働きがあります。また、ニオイ成分を中和・吸着する消臭効果も期待されます。

重曹で期待できる効果
- 皮脂・油汚れを落とす:弱アルカリ性のため、皮脂や、油分を含んだ食べこぼしの汚れに効果が期待できる
- 消臭:汗や皮脂が原因のニオイの軽減に役立つ
- 黄ばみの軽減:皮脂汚れが酸化した黄ばみを、ペーストやつけ置きで落としやすくする
- 洗剤の補助:洗剤と併用して、洗浄力を補う
重曹の弱点
重曹は、洗剤に比べて、洗浄力は穏やかで、除菌力はやや弱いとされています。重曹だけで、頑固な汚れや、強いニオイを落とすのは難しいことがあります。また、水に溶けにくく、粒子が細かいため、使い方によっては溶け残りのトラブルが起こりやすい点にも注意が必要です。
重曹・セスキ炭酸ソーダ・クエン酸の違い
洗濯でよく使われる、3つのナチュラルクリーニング素材の違いを、整理しましょう。
| 素材 | 液性 | 得意な汚れ | 特徴・注意点 |
|---|---|---|---|
| 重曹 | 弱アルカリ性 | 皮脂・油汚れの中和、消臭 | 色柄物にも使えるが、洗浄力は穏やか。除菌力はやや弱い |
| セスキ炭酸ソーダ | 強めのアルカリ性 | 頑固な皮脂・血液汚れ | 洗浄力は重曹より高い。色柄物は色落ちに注意。使用時はゴム手袋で肌を守る |
| クエン酸 | 弱酸性 | 水垢・ミネラル汚れ、アルカリ性の汚れ、汗のアンモニア臭など | 油汚れは苦手 |
セスキ炭酸ソーダは、成分が重曹と炭酸ナトリウムで、重曹よりもアルカリ性が強いため、洗浄力が高くなります。つけ置きや洗剤との併用で使えますが、絹やポリエステルなど、水で色が出やすい素材は、つけ置きに向いていません。
洗濯物に重曹を使う方法
方法1:洗濯機で、洗剤と併用する
もっとも手軽なのが、いつもの洗剤に、重曹を足して洗う方法です。
- 量の目安:洗濯物5kg程度で、大さじ1〜2杯が基本。強い消臭効果が必要な場合でも、最大で大さじ3杯程度までにとどめる
- 入れ方:粉のまま入れず、ぬるま湯に溶かしてから、洗濯槽に直接入れると安定する。投入口よりも、槽に入れるほうが、詰まりを避けやすい
- タイミング:洗剤と同時、または先に投入する
洗剤の補助なら、大さじ1杯程度から始め、必要なときだけ大さじ2杯程度まで調整する、という進め方が紹介されています。重曹を増やしても、洗浄力は変わらないため、入れすぎは禁物です。
方法2:つけ置きで、皮脂・ニオイ・黄ばみを落とす
- 洗面器やバケツに、40℃前後のぬるま湯を用意する
- 重曹を溶かす(分量の目安は下記)
- 衣類を入れ、30分〜1時間ほどつけ置きする
- 軽くすすいでから、洗濯機で通常どおり洗う
つけ置きの重曹の量は、情報源によって、「水1Lに大さじ1」「水10Lに大さじ1」など幅があります。最初は少なめの量から試し、溶け残りが出ない範囲で調整しましょう。つけ置き時間は、汚れの種類によって、30分から数時間まで幅がありますが、色落ちが心配な衣類や、デリケートな素材は、短時間から様子を見るのが安心です。
| 汚れの種類 | つけ置き時間の目安 | 温度の目安 |
|---|---|---|
| 皮脂・ニオイ | 1時間〜 | 40℃前後 |
| 黄ばみ | 1〜2時間〜 | 40℃前後 |
| タオル | 1時間程度 | 40℃前後 |
方法3:重曹ペーストで、部分的な黄ばみ・汚れに
襟、袖口、脇など、部分的な黄ばみには、ペーストが便利です。
- 重曹に少量の水(またはぬるま湯)を加え、ペースト状にする
- 黄ばみの気になる部分に塗り、5〜10分ほどなじませる
- 40℃ぐらいのぬるま湯に、衣類を入れ、30分〜1時間つけ置きする
- 軽くすすぎ、洗濯機で洗う
汗や皮脂汚れは、繊維の奥まで入り込んでいます。重曹ペーストを塗り込み、ぬるま湯につけ置きすることで、繊維の奥にこびり付いた汚れを浮かせられます。黄ばみについては下記の記事で詳しく解説しています。
方法4:洗濯槽の掃除に使う(縦型のみ)
重曹は、洗濯槽の軽い汚れの掃除にも使われます。ただし、重曹は縦型洗濯機には使えても、ドラム式には使えません。溢水(水があふれること)や詰まりの原因になるためです。
縦型洗濯機の場合の目安は、次のとおりです(情報源により幅があるため、取扱説明書も確認してください)。
- 洗濯機に、40℃前後のぬるま湯を、高水位までためる
- 重曹を、しっかり溶かして入れる(量の目安は100〜200g程度。200gを超えると、溶け残りや詰まりのリスクが高まる)
- 数時間つけ置きしてから、すすぎ・脱水をする
重曹は、軽い汚れの予防・日常のメンテナンス向きで、黒カビなど、頑固な汚れには、洗濯槽クリーナーのほうが確実とされています。洗濯槽の掃除方法は下記の記事を参考にしてください。
汚れ別・重曹の活用早見表
| 悩み | 重曹の使い方 | 補足 |
|---|---|---|
| 汗・皮脂のニオイ | 洗剤に大さじ1〜2を併用、またはつけ置き | においが強い場合は、酸素系漂白剤も検討する |
| 襟・脇の黄ばみ | 重曹ペースト+つけ置き | 落ちにくい場合は、酸素系漂白剤を併用する |
| 食べこぼしの油シミ | 部分的にペーストを塗り、つけ置き | 時間が経つ前に対処する |
| タオルのニオイ | 40℃のぬるま湯でつけ置き | 生乾き臭の場合は、モラクセラ菌対策も必要 |
| 洗濯槽の軽い汚れ | 縦型のみ、ぬるま湯+重曹でつけ置き | ドラム式は使用不可 |
生乾き臭の原因と対策は下記の記事で解説しています。
重曹を洗濯に使うときの注意点
1. 入れすぎない(適量を守る)
より高い洗浄力を得ようとして、重曹の量を増やしても、洗浄力は変わりません。むしろ、重曹が水に溶けずに残り、洗濯物が乾いたときに、白い粉が付着したまま残る可能性があります。また、入れすぎた重曹が、洗濯槽の詰まりの原因になる可能性もあります。白い粉が残ったときの対処法は下記の記事で解説しています。
2. ぬるま湯で溶かしてから使う
冷水だと、重曹は溶け残りやすくなります。ぬるま湯で、しっかり溶かしてから、洗濯槽に入れましょう。粉残りは、臭い戻りや、汚れの再付着の原因にもなります。
3. ドラム式洗濯機には、直接入れない
ドラム式洗濯機に、重曹を直接入れるのは避けてください。重曹は、水に溶けにくく、粒子が細かいため、水に溶けなかった重曹が、排水ホースに詰まり、水漏れやセンサーの故障を引き起こす原因になります。使用できるかどうかは、洗濯機の取扱説明書や、メーカーの案内で確認しましょう。
4. デリケートな素材には使わない
シルクやウール、レーヨン、革製品などは、アルカリ性に弱く、重曹の使用は避けたほうがよいとされています。洗濯表示を確認し、使えるかどうか判断しましょう。洗濯表示の見方や洗剤の選び方については下記の記事も参考にしてください。
5. 色柄物は、色落ちテストをしてから
色柄物にも使えますが、染料によっては、色落ちする場合があります。目立たない部分で試してから、使いましょう。
6. 赤ちゃん・敏感肌の人は注意する
重曹は、弱アルカリ性で、肌への刺激は強くありませんが、とくに赤ちゃんや敏感肌の人は注意が必要です。あまり濃い重曹水に、長時間つけ置きすると、タンパク質の分解が、肌荒れの原因になる可能性があります。短時間・適量で使い、しっかりすすぎましょう。
7. 他の洗浄剤との混ぜ方に注意する
洗浄剤を複数使うときは、混ぜ方に注意が必要です。とくに、塩素系漂白剤と、酸性のもの(クエン酸など)を混ぜると、有害なガスが発生するおそれがあるため、絶対に混ぜないでください。重曹とクエン酸を併用する場合も、同時に混ぜると、反応して効果が打ち消されることがあるため、別々のタイミングで使うなど、製品の表示や説明に従いましょう。
重曹で効果が出ないときの対処法
重曹を使っても、においや黄ばみが取れない場合は、次の可能性があります。
| 原因 | 対処法 |
|---|---|
| 汚れがすでに酸化して定着している | 酸素系漂白剤のつけ置き、スチームアイロンとの併用 |
| 雑菌(モラクセラ菌)が繁殖している | 酸素系漂白剤、煮洗い(綿のみ)、乾燥機・アイロンの熱処理 |
| 洗濯槽が汚れている | 洗濯槽クリーナーで槽洗浄 |
| 重曹が溶け残っている | ぬるま湯で溶かしてから使う |
| 重曹の量が少なすぎる・つけ置き時間が短い | 適量を守り、時間を調整する |
重曹は、軽い汚れや、日常の補助に向いた素材です。頑固な黄ばみや強いにおいには、酸素系漂白剤など、別の方法が効果的な場合もあります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 重曹だけで、洗濯はできますか?
A. 軽い汚れや、においの軽減には使えますが、洗浄力は穏やかなため、洗剤の補助として使うのが一般的です。しつこい皮脂汚れには、洗剤との併用がおすすめです。
Q2. 洗濯機に入れる重曹の量は?
A. 洗濯物5kg程度で、大さじ1〜2杯が基本です。強い消臭効果が必要な場合でも、大さじ3杯程度までにとどめましょう。入れすぎると、白残りや詰まりの原因になります。
Q3. ドラム式洗濯機で、重曹は使えますか?
A. ドラム式洗濯機には、重曹を直接入れないようにしてください。水に溶けにくく、排水ホースの詰まりや、センサーの故障につながるおそれがあります。
Q4. 重曹とセスキ炭酸ソーダは、何が違いますか?
A. セスキ炭酸ソーダのほうが、アルカリ性が強く、洗浄力が高くなります。ただし、色柄物は色落ちに注意が必要で、使用時はゴム手袋で肌を守りましょう。
Q5. 重曹を使うと、洗濯物に白い粉が残りました。どうすればいいですか?
A. 重曹の入れすぎや溶け残りが原因です。乾く前なら、水ですすぎ直し、乾いたあとなら、衣類ブラシや固く絞った濡れタオルで取り除きます。次回から、ぬるま湯で溶かし、適量を守りましょう。
まとめ
重曹は、弱アルカリ性の性質で、汗や皮脂、油分を含む食べこぼしなどの酸性の汚れを中和し、消臭や黄ばみの軽減に役立つ、洗濯の補助アイテムです。
使い方は、洗剤と併用する(洗濯物5kgで大さじ1〜2杯)、40℃前後のぬるま湯でつけ置きする、ペーストにして部分的な黄ばみに塗る、の3つが基本です。
ただし、洗浄力は洗剤より穏やかで、除菌力もやや弱いため、頑固な汚れや強いにおいには、酸素系漂白剤など別の方法が必要な場合もあります。
使用するときは、適量を守り、ぬるま湯でしっかり溶かし、ウール・シルク・レーヨン・革製品には使わないこと、ドラム式洗濯機には直接入れないこと、赤ちゃんや敏感肌の人は短時間・適量にとどめることに注意しましょう。塩素系漂白剤と酸性のものを混ぜない、というルールも忘れずに。
洗濯槽の軽い汚れには、縦型洗濯機に限り、ぬるま湯と重曹を使う方法もありますが、頑固なカビには洗濯槽クリーナーが確実です。
重曹の特性を理解して、洗濯の悩みを、手軽に、安全に解決しましょう。
