「検針票の金額が合っているのか、自分で確かめたい」「引っ越し前に、使用量から電気代を見積もりたい」電気代は、いくつかの項目を足し算するだけで、自分でも計算できます。
本記事では、電気代の計算式の基本から、東京電力の従量電灯Bを例にした具体的な計算手順、使用量別の目安、計算結果を確認・活用する方法までを、わかりやすく解説します。
電気代の計算式の基本
電気代は、次の4つの項目を合計して求められます。
電気代 = 基本料金 + 電力量料金 + 燃料費調整額 + 再エネ賦課金
それぞれの項目の役割は、次のとおりです。
- 基本料金:契約しているアンペア数(契約容量)に応じて、使用量に関係なく毎月かかる固定料金
- 電力量料金:使用した電力量(kWh)に、電力量単価を掛けて計算する料金
- 燃料費調整額:火力発電に使う原油・LNG・石炭の輸入価格の変動を反映する、プラスにもマイナスにもなる調整額
- 再エネ賦課金:再生可能エネルギーの固定価格買取制度を支えるため、使用量に応じて全国一律で負担する費用
電力会社によっては、電力量料金に燃料費調整額を組み込んで「電力量料金(燃料費調整額を含む)」として一体で表示する場合もありますが、計算の考え方は同じです。それぞれの項目が値上がりする背景は、下記の記事で詳しく解説しています。
①基本料金の計算方法
基本料金は、契約しているアンペア数によって決まります。東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bを例にすると、次のとおりです(2026年時点、税込)。
| 契約アンペア | 基本料金(月額) |
|---|---|
| 10A | 311.75円 |
| 20A | 623.50円 |
| 30A | 935.25円 |
| 40A | 1,247.00円 |
| 50A | 1,558.75円 |
| 60A | 1,870.50円 |
10Aあたり約311.75円ずつ増える仕組みで、計算式にすると「311.75円×(契約アンペア÷10)」です。契約アンペア数ごとの詳しい仕組みや、見直しによる節約額は下記の記事で解説しています。
②電力量料金の計算方法
電力量料金は、使用した電力量(kWh)に、電力量単価を掛けて求めます。多くの電力会社では、使用量が多くなるほど単価が上がる「3段階料金制」が採用されています。東京電力の従量電灯Bの単価は、次のとおりです(2026年時点、税込)。
| 使用量の区分 | 電力量単価 |
|---|---|
| 最初の120kWhまで | 29.80円/kWh |
| 120kWh超〜300kWhまで | 36.40円/kWh |
| 300kWh超過分 | 40.49円/kWh |
たとえば、1か月の使用量が260kWhの場合、電力量料金は次のように計算します。
120kWh × 29.80円 = 3,576円
(260kWh − 120kWh)× 36.40円 = 140kWh × 36.40円 = 5,096円
合計:3,576円 + 5,096円 = 8,672円
このように、段階が変わるポイント(120kWh、300kWh)で区切って、それぞれの単価を掛けるのがポイントです。
③燃料費調整額の計算方法
燃料費調整額は、「燃料費調整単価×使用電力量」で計算します。単価は毎月見直され、プラスになることもマイナスになることもあります。東京電力エナジーパートナーの2026年9月分の燃料費調整単価は、1kWhあたり−10.96円でした。この場合、使用量300kWhでは、次のように計算します。
−10.96円 × 300kWh = −3,288円
マイナスの単価は、電気代から差し引かれることを意味します。燃料費調整単価は、電力会社の公式サイトで、毎月公表されています。
④再エネ賦課金の計算方法
再エネ賦課金は、「再エネ賦課金単価×使用電力量」で計算します。単価は全国一律で、年度ごとに経済産業省が決定します。2026年度(2026年5月検針分〜2027年4月検針分)の単価は、1kWhあたり4.18円です。使用量300kWhの場合、次のようになります。
4.18円 × 300kWh = 1,254円
電力会社やプランを変えても、この単価は変わりません。
計算例|使用量300kWh・契約30Aの場合
ここまでの項目を合計して、実際に計算してみましょう。東京電力の従量電灯B、契約30A、使用量300kWh、2026年9月分の燃料費調整単価(−10.96円/kWh)、2026年度の再エネ賦課金単価(4.18円/kWh)で試算します。
| 項目 | 計算式 | 金額 |
|---|---|---|
| 基本料金 | 311.75円×3(30A分) | 935.25円 |
| 電力量料金(第1段階) | 29.80円×120kWh | 3,576円 |
| 電力量料金(第2段階) | 36.40円×180kWh | 6,552円 |
| 燃料費調整額 | −10.96円×300kWh | −3,288円 |
| 再エネ賦課金 | 4.18円×300kWh | 1,254円 |
| 合計 | 約9,029円 |
同じ条件で、使用量400kWh・契約40Aの場合も計算してみます。
| 項目 | 計算式 | 金額 |
|---|---|---|
| 基本料金 | 311.75円×4(40A分) | 1,247円 |
| 電力量料金(第1段階) | 29.80円×120kWh | 3,576円 |
| 電力量料金(第2段階) | 36.40円×180kWh | 6,552円 |
| 電力量料金(第3段階) | 40.49円×100kWh | 4,049円 |
| 燃料費調整額 | −10.96円×400kWh | −4,384円 |
| 再エネ賦課金 | 4.18円×400kWh | 1,672円 |
| 合計 | 約12,712円 |
燃料費調整単価は毎月変わるため、同じ使用量でも、月によって請求額は変動します。自分で計算する際は、契約している電力会社の、その月の燃料費調整単価を確認してから計算しましょう。
プランによって計算方法が異なる点に注意
ここまでは、アンペア制・段階制料金を例に解説しましたが、電力会社やプランによって、計算方法は異なります。
- アンペア制(従量電灯B など):契約アンペア数で基本料金が決まる、最も一般的な方式
- 契約容量(kVA)制:関西電力や中国電力の従量電灯など、契約容量(kVA)で基本料金が決まる方式
- 基本料金0円のプラン:新電力を中心に、基本料金をなくし、電力量単価だけで計算するプラン
- 市場連動型プラン:卸電力取引所(JEPX)の市場価格に連動して、電力量単価が30分ごとに変動するプラン
- 時間帯別プラン:昼間と夜間で、電力量単価が異なるプラン
自分の契約しているプランがどの方式かによって、計算の仕方が変わります。契約内容は、検針票やマイページで確認できます。確認方法は下記記事で解説しています。
自分で計算するときの手順
- 契約しているプランと単価を確認する:検針票やマイページ、電力会社の公式サイトで、基本料金単価、電力量単価、その月の燃料費調整単価を確認します。
- 使用量(kWh)を確認する:検針票やマイページに記載されている、当月の使用量を確認します。
- 各項目を計算する:基本料金、電力量料金、燃料費調整額、再エネ賦課金を、それぞれ計算します。
- 合計して検針票の金額と照らし合わせる:計算結果と、実際の請求額が大きくずれていないか確認します。大きな差がある場合は、契約内容の変更や、請求の誤りがないか、電力会社に問い合わせましょう。
計算結果を活用する方法
使用量から電気代を見積もる
引っ越し前や、家電を買い替える前に、想定される使用量から電気代を見積もっておくと、予算を立てやすくなります。世帯人数別の平均使用量や電気代の目安は、次の記事で解説しています。
契約プランを比較する
自分の使用量をもとに、複数の電力会社・プランで計算してみると、どのプランが自分に合っているかを比較できます。基本料金が0円のプランは、電力量単価が高めに設定されていることがあるため、使用量が多い家庭では、トータルの金額で比較することが大切です。
節約効果を数値で確認する
エアコンの設定温度を1℃調整したり、契約アンペアを下げたりした場合の節約効果も、同じ計算式で見積もれます。具体的な節約方法と効果額の目安は、下記の記事で解説しています。
よくある質問(FAQ)
Q. 燃料費調整単価は、どこで確認できますか?
A. 契約している電力会社の公式サイトで、毎月公表されています。「(会社名) 燃料費調整単価」で検索すると見つかります。
Q. 自分で計算した金額と、検針票の金額が合いません。なぜですか?
A. 消費税の端数処理や、日割り計算、料金改定のタイミングのずれなどが原因である場合があります。大きくずれている場合は、電力会社に問い合わせて確認しましょう。
Q. 基本料金0円のプランは、計算方法も変わりますか?
A. 基本料金の項目がなくなるだけで、電力量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金の計算方法は同じです。
Q. 市場連動型プランの電気代は、自分で計算できますか?
A. 30分ごとに単価が変動するため、手計算は難しくなります。契約している電力会社のマイページやアプリで、使用量と単価の履歴を確認するのが現実的です。
Q. オール電化の時間帯別プランも、同じ計算式ですか?
A. 基本的な考え方は同じですが、昼間・夜間でそれぞれ電力量単価が異なるため、時間帯ごとの使用量を分けて計算する必要があります。詳しくは下記の記事で解説しています。
まとめ
電気代は、「基本料金+電力量料金+燃料費調整額+再エネ賦課金」という4つの項目を足し算することで、自分でも計算できます。
基本料金は契約アンペア数、電力量料金は使用量と段階別の単価、燃料費調整額と再エネ賦課金はそれぞれの単価と使用量を掛けて求めます。
燃料費調整単価は毎月変わるため、計算する際はその月の最新単価を確認しましょう。計算方法がわかれば、引っ越し前の見積もりや、契約プランの比較、節約効果の確認にも役立ちます。
まずは検針票やマイページで、自分の契約内容と使用量を確認することから始めてみてください。
