訳あり物件とは、土地・建物に瑕疵(かし)がある
物件のことを言います。
訳あり物件と一口に言っても具体的には、大きく4種類に
分けることができます。
このページでは、環境的瑕疵物件について
詳しく説明していきます。
Contents
そもそも瑕疵(かし)とは?
瑕疵(かし)とは、本来あるべき
機能・品質・性能が備わっていない=欠陥があることを
言います。
法律用語なので、難しいと言う印象を受けると思いますが、
要するにキズ・欠点・欠陥のことです。
環境的瑕疵物件とは
環境的瑕疵物件は、その他の瑕疵物件とは違い、少し特殊です。
物理的瑕疵、法的瑕疵、心理的瑕疵は、不動産そのものに
問題があるのに対して、環境的瑕疵とは、不動産そのものには
問題がありません。
近隣に嫌悪施設がある等、不動産を取り巻く環境に
問題がある物件のことを環境的瑕疵物件と言います。
・周辺を電車やトラックがよく通るため、振動問題を抱えている
・周辺にゴミ屋敷等、悪臭を放つ建物がある
・周辺に高層マンション等があり、日照・眺望が阻害されている
・周辺に暴力団組員が居住している
・周辺に暴力団事務所がある
・周辺に火葬場や産業廃棄物処理場等の迷惑施設がある
等
環境的瑕疵物件の見分け方
重要事項説明のときに、例えば周辺に暴力団事務所や
宗教団体の事務所がある場合は、
「関係団体の事務所あり」等の記載があります。
ただし、環境的瑕疵物件は、主観によるため、
重要事項説明から漏れることもあります。
そのため、自分にとって許容できない嫌悪施設等については、
ご自身で調べる必要があります。
ご自身で調べる場合は、地図等を参考にご自身で周辺を
見て回るだけでなく、物件の所有者や近隣住民の方への
聞き込みも重要になります。
周辺に空き地や駐車場がある場合は、要注意
契約時には、周辺に環境的瑕疵になるような施設等が
なかったとしても、下水道処理施設や、高層マンション等が
後日建ち、環境的瑕疵物件になる可能性があります。
特に空き地や駐車場は、現在持て余している土地のため、
大家さんにとって良い話があれば、すぐに売却・建設されて
しまいます。
必ずしも嫌悪施設等が建つわけではありませんが、
何が建つのか、わかりませんので、避けておくべきです。
環境的瑕疵があると安い?
環境的瑕疵のある物件は、相場と比べると安価で
購入できる場合があります。
ただし、環境的瑕疵は、わかりにくく、
また、物件そのものが悪いわけではないので、
物理的、心理的、法的瑕疵物件と比べると
値段が下がりにくい傾向にあります。
告知義務があります
環境的瑕疵がある場合、売主は
重要事項として契約時に説明する義務があります。
口頭での説明も、もちろんありますが、
書面として、きちんと添付しないといけません。
相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う
媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)
に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、
その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、
少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面
(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。
告知義務の範囲
「不動産売買の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの」が基準となります。
そのため、物件から嫌悪施設までどのくらい離れていれば説明不要か、
あるいは、どの程度の影響であれば説明しなくていいのか等の明確な基準はありません。
そのため、一般常識の範囲内の、環境的瑕疵については、
説明してくれますが、買主にとって、どうしても譲れない点がある場合は、
不動産会社にキチンと要望を伝えて、聞き出す必要があります。
告知義務の期間
環境的瑕疵があり続ける限り、告知する義務があります。
理論上、環境的瑕疵が解消されれば、
告知する必要は、なくなります。
告知義務を怠った場合の取扱い
もしも、告知義務があるにも関わらず
売主が買主に伝えなかった場合、瑕疵担保責任を負います。
物理的瑕疵、心理的瑕疵、法的瑕疵の場合は、
契約の解除又は損害賠償の請求をすることが
できました。
しかし、環境的瑕疵の場合、建物自体に瑕疵があるわけではなく、
契約の目的そのものは達成できるため、判例でも契約の解除
までは認められておらず、ほとんどの場合、
売買価格の1割~2割の損害賠償請求が認められています。
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