夫婦共有の場合、住宅ローン控除は夫婦ともに受けられる?

住宅ローン

ひと昔前までは、
夫が外で働き、妻が家を守るという家庭が多かったですが、
最近は、共働きの夫婦が増えてきました。

それに伴い、マイホームを購入する場合も
単独所有ではなく、夫婦で共有するケースが増えてきました。

では、例えば夫婦共有で住宅を購入した場合

夫婦2人とも住宅ローン控除を受けることができるのか?
それとも、夫婦どちらか一方しか住宅ローン控除を
受けることができないのか?

気になるところだと思います。

そこで、このページでは、
夫婦共有でマイホームを購入した場合の住宅ローン控除について、
また、その他夫婦で共有する場合の注意点について詳しく説明します。

Contents

夫婦ともに住宅ローン控除を受けることができる


結論から言うと、
夫婦ともに住宅ローン控除を受けることは可能です。

ただし、通常の住宅ローン控除の条件に加えて
共有ならではの条件が加わります。

住宅ローン控除の条件
・マイホームを取得した日から6ヶ月以内に居住を開始し、
引き続き控除適用年の12月31日まで居住していること
・控除適用年の合計所得金額が3,000万円以下であること
・適用を受ける年の翌年3月15日までに所得税の確定申告をすること
・住宅の取得等にかかるローンであること(利息対応部分の金額は非該当)
・返済期間が10年以上であること
・床面積が50㎡以上であること
・床面積の1/2以上が適用者の居住用であること

 

夫婦ともに住宅ローン控除を受けるためには、
上記7つの条件に加えて

・夫婦ともにマイホームにかかる借入金(住宅ローン)があること
・夫婦ともに家屋に名義が入っていること(夫婦共有名義)

の2つを加えた合計9つの条件
全て満たす必要があります。

なお、住宅ローン控除の手続き方法については下記ページをご覧ください。

また、住宅ローン控除の戻り額が少ないのでは?と
疑問や不安に思う場合は、確認すべき3つのポイントがあります。

詳しくは下記ページをご覧ください。

注意点1:床面積は共有持分に関係なく建物全体で判断する


住宅ローン控除の条件の1つに
・床面積が50㎡以上であること
と言うものがあります。

共有なので、床面積に持分割合を乗じた
共有持分の床面積が50㎡以上必要なのでは?と
勘違いしてしまいがちですが、そうではありません。

他の人の共有持分を含めた建物全体の床面積によって
判断します。

床面積判定の例
・建物全体の床面積が60㎡
・夫の共有持分50%
・妻の共有持分50%
の場合床面積に持分割合を乗じると60㎡×50%=30㎡となり、50㎡未満になってしまいますが、
建物全体の面積は60㎡≧50㎡なので、
問題ありません。夫婦ともに、
・床面積が50㎡以上であること
の条件を満たします。

 

注意点2:連帯保証人ではダメ


住宅ローン控除の対象はあくまで住宅ローンの債務者です。
そのため、連帯保証人は住宅ローン控除の対象とはなりません。

では、夫は夫、妻は妻で、それぞれ単独債務で
住宅ローンを組まなければいけないのか?と言うと
そういうわけではありません。

「連帯保証」と似た言葉で「連帯債務」と言うものがあります。

連帯保証の場合は、住宅ローン控除の対象となりませんが、
連帯債務の場合は、住宅ローン控除の対象となります。

そのため、夫の収入と妻の収入を合算して住宅ローンを組む場合でも、
連帯債務者として住宅ローンを組めば、
夫婦ともに住宅ローン控除を
受けることができます。

夫婦で住宅ローン控除を受ける場合の借り方は2通り
・夫、妻それぞれ単独債務で住宅ローンを組む(契約数は2本)
・夫の収入と妻の収入を合算して、連帯債務で住宅ローンを組む(契約数は1本)

 

注意点3:所有権の持分割合で住宅ローン控除の割合が決まる


確定申告の直前になって、夫婦での住宅ローンの割合をどうするか?
を検討しても意味がありません。

なぜなら、住宅ローン控除の割合は所有権の登記の時に
記載する持分割合によって決まるからです。

住宅ローン控除の割合例
建物価格が3,000万円
夫の住宅ローン負担額2,000万円
妻の住宅ローン負担額1,000万円
夫の所有権持分割合が1/2
妻の所有権持分割合が1/2
の場合住宅ローン控除の金額は所有権の持分割合によって
決定するため、住宅ローン控除の対象金額は、それぞれ
最大建物価格の半分(夫1,500万円、妻1,500万円)までしか認められません。そのため、夫は2,000万円負担していますが、
1,500万円までしか住宅ローン控除の対象になりません。また、妻は最大1,500万円まで住宅ローン控除の対象にできますが、
実際の住宅ローンの負担額は1,000万円までなので、
1,000万円までしか控除の対象となりません。この例の場合、夫1,500万円、妻1,000万円
夫婦あわせて2,500万円までしか住宅ローン控除の対象となりません。

上記例のように住宅ローン控除の対象金額が減り、
損をする可能性があります。

連帯債務で住宅ローン減税を受ける場合は、
所有権の持分割合を登記する前までに、
どういう割合にするのか、しっかりと検討しましょう。

注意点4:夫婦間で贈与税が課せられる場合がある


もう1つ不動産登記をするときに、注意点があります。
それは贈与税です。

マイホームは夫婦の所有物だからと言って、
安易に共有持分を1/2にすると、大変なことになります。

資金の負担額=登記上の持分

であれば、大丈夫なんですが、

資金の負担額≠登記上の持分

の場合は、贈与税が課せられる可能性があります。

例えば、先ほどの「住宅ローン控除の割合例」の場合、妻の

住宅ローン負担額1,000万円≠持分割合1,500万円

のため、差額の500万円については、贈与税の対象となる可能性があります。

贈与税の対象となるかどうかは、税務署から「お尋ね」が来た際の
回答次第で変わります。

「持分割合」「資金の負担額」について、
辻褄のあう説明ができれば、回避することが可能です。

注意点5:住宅ローン控除の割合は途中で変更できない


夫婦ともに収入がある場合、
どちらか一方が住宅ローン控除を利用するよりも
夫婦2人で住宅ローン控除を利用した方が確かにお得です。

しかしそれは、その状況が10年間続いた場合の話です。

例えば、リストラや育児などで、
夫婦のどちらか一方が会社を辞めた場合、
所得がなくなるため、住宅ローン控除が
受けられなくなってしまいます。

「住宅ローンの借り換えをすれば、
仕事を続けている方に上乗せできるんじゃないの?」

と思うかもしれませんが、残念ながら、それはできません。

住宅ローンの借り換えとは、借り入れ銀行を変更することです。

住宅ローンの借り入れ金額を増やす変更はできないんです。

このように、一度決まった住宅ローン控除の割合は
途中で変更することができません。

そのため、どちらか一方に数年で仕事を辞める予定が
あるのであれば、ライフプランナーに相談するなどして
慎重に決めた方が損をせずにすみます。

住宅ローン控除以外の補助金・優遇制度

上記の他、マイホームを購入した時に活用できる
税・補助金・優遇制度について知りたい場合は、
下記のページをご覧ください。

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